私でも読めそうな名作を探して、図書館のティーンズコーナーをうろうろします。
今回手に取ったのは『坊ちゃん』。
夏目漱石と言えば、『こころ』ですよね。
確か、高校生の教科書に載っていた記憶です。
社会人になって、友達が読み切ったと言っていて、オススメしてくれましたが、
長編は読み切れる自信がない。。
『こころ』に比べると薄いので、読みやすそう。。
裏に「不朽の名作」の文字もあり、決め手になりました。
そんな気軽に手に取ったものの、これは本当にオススメ。
あとがきの解説にもあったのですが、本当に昔の話??
というぐらい、現代でもあるあるな人間模様が面白いです。
※※ネタバレ※※ 感想
まずね、本当に主語が分からない。
いや、『坊ちゃん』が主人公であることは確かなんだけど、
私なんてずーっと坊ちゃんは夏目漱石のことだと思い込んでいました。
夏目漱石自身の記憶が日記に記されてるみたいなイメージでいました。
日記から、漱石自身が思い起こして記したものなんじゃないかと。
主人公の坊ちゃんは周りの人たちのことに勝手にあだ名を付けます。
赤の服を着ている教頭先生が出てくるのですが、『赤シャツ』なんてあだ名を付けて。
下宿先の婆さんとのやりとりの中でも、ナチュラルに『赤シャツ』を会話に出す坊ちゃん。
婆さんは初め、ちゃんと教頭って言っていたのに、
いつの間にかつられて『赤シャツ』と呼んでいたり爆笑
でも、さすがに『山嵐』は分からなかったみたいで、
「山嵐って誰です?」みたいな会話になったり。
もう手に取るように会話の様子が想像できて、面白くって笑っちゃいます。
『赤シャツ』も『山嵐』も坊ちゃんにとっては敵みたいな立ち位置になってしまうんですが。
読者の私としては、え~、山嵐、いい奴なんじゃないの?
何か誤解はないのだろうか..
と思っていたら、やっぱり誤解というか、山嵐が信じていた人が間違っていたみたいになって。
後に、坊ちゃんと普通に話せるようになって、
やっぱり意気投合でと、読者の私も嬉しくなりました。
あそこも好きだったな。
辞令交付のところで、着任した際に辞令の用紙を持って、
職員一人一人に挨拶をするシーンがあって。
坊ちゃんが、「こんなの控所(職員室)に数カ月、張り出しておけば良かろう」
と考えるのです。
同感..笑
私も国の機関で働いていたことがあって、
職員は辞令交付の際に用紙を持ち歩いて、挨拶にまわっていて。
ずっと変わらないんだな、私と同じように昔でも、
しょうもないなと感じている人がいたんだなと。
(『坊ちゃん』はフィクションですが。)
というか、この現代においても、辞令交付でまわっているのを夏目漱石が見たら、
まだそんなムダなことを!!って思うのかもなとか。笑
(ネタバレなし) 『坊ちゃん』は大人でも、大人こそ愉しめる本
本当はね、読み始めた際に、両親に
「今、坊ちゃん図書館で借りてきて、読んでいるんだ~」みたいなこと言ったら、
「そんなの中学生が読む話じゃん」みたいに言われて。
確かにティーンズコーナーにあった本を借りた訳ですが。
私の中では私が本を読むということだけでも、凄いことなのになぁ。。
なんて思ったりした訳なのですが。
でもね、本当に読んで良かった。
坊ちゃん=漱石 ではなかったけど、もしかしたら、
漱石自身もこういう思考(ひねくれた?思慮深い?ちょっとネガティブ?)の感じが
普段からあったのかなぁとかも想像できました。
もっと他の作品にも触れてみたいと思ったのでありました。
そう、坊ちゃんの思考が本当に面白い。
日々生活していると、こんちくしょなんて、
誰かに対して思ったりすることって日常で良くありますものね。
本だからばっさり滅多切りにしてくれたりして。
爽快。
坊ちゃんの主観だけから見る感じですが。
人物描写がしっかりあって、容易にシチュエーションが想像できました。
仕事で嫌なヤツがいたり、逆らいたくても逆らえずに我慢していたり。
仕事の人間関係って、悩ましい時ありますよね。
そんな時に読むと、この主人公のひねくれ具合が
なんだかいい感じに寄り添ってくれる気がします。
この本を読んでいる毎日は、日々、夏目漱石に会える時間があるような気がして、
私はとても心地よい時間が過ごせました。
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