『おちくぼ姫』を読んで。日本版シンデレラ、本当にあった平安時代の話。

 『坊ちゃん』を読み終えて、次に探し出した本です。

 とある本の紹介で、「日本版シンデレラ」とあり、興味が湧きました。
 ただ、平安時代の物語で『落窪物語』というもので、
まぁ、興味があるけど読む機会はないだろうな…と思っていました。

 がしかし、図書館のティーンズコーナーの文庫本の中に『おちくぼ姫』を発見。
平安時代の『落窪物語』を現代の人にも分かるように描かれたものみたいです。
 これは…!読みやすそう!

 案の定、サラサラと読めました。
 え?平安時代にそれはないだろ…と思ってしまう部分もありましたが、
とっつきやすくてとても読みやすいものでした。

 少しうるっとしてしまうくらい感情移入してしまうところもありましたし、
思わずニヤリと笑ってしまう部分もありました。

 読破後はなんだか、爽快な感じがしますよ。
平安時代をちょっとだけ垣間見たような、そんな気がします。

※※ネタバレ

 まず、物語はおちくぼ姫のお世活をする阿漕や、
源道頼に仕える帯刃(たちはき)なしでは成り立ちません。

 本当、この2人がいい働きをするんですね。
 邸(やしき)にはおちくぼ姫の他に姫が2人いるのですが、
彼女たちは、この邸の北の方(母親)の娘です。
この娘たちと腹違いなのがおちくぼ姫です。

 おちくぼ姫の本当の母親は姫が幼い頃に亡くなり、
父親のこの家にひきとられることになったのですが、まぁ、なんと、本当にシンデレラ。
 落ち窪んだ部屋に1人隔離されて、裁縫ばかりさせられる毎日。
それで「おちくぼ姫」。

 父親はこの北の方(継母)の言うことをとことん信じて、おちくぼ姫に何もしてあげないし。

 おちくぼ姫の世話役の阿漕(あこぎ)。
阿漕と帯刃(たちはき)は結婚しているので、
姫を何とかしてあげたいと阿漕は思い、帯刃に相談します。

 帯刃は女遊びの好きな少将(源道頼)に話をもちかけて、姫のところに通うようになるのです。
女遊びが好きだったはずの少将は、
一途にこのおちくぼ姫だけを愛すようになって、妻にしたいと。

 落窪の部屋に通う際に継母の北の方に少将の顔がバレそうになりますが、バレず。
良い位の人がおちくぼ姫のところに通っているのだけが北の方にバレて、
北の方は60代のおじいさんとおちくぼ姫を結婚させようとするのです。

 ヤバくないですか!?このおじいさん(典薬(てんやく)の助(すけ))も
下心丸出しでキモく描かれていて、
でも北の方が思うようにこの2人を結婚させることはできなくて。

 少将がおちくぼ姫を助け出し、自分の邸(やしき)に連れ出します。
 本当に良かった。
これが本当にあった話!?とびっくりです。

 その後は平和に暮らせるのですが、中将になった源道頼は北の方に仕返しを企てるのです。
おちくぼ姫はもう良いのです、忘れましたと言うのですが。

 この中将の道頼、おちくぼ姫と出会った頃は少将ですが、本当に紳士!!
奥さんが何人もいるのが当たり前なのに、
最初におちくぼ姫に言っていた通り、おちくぼ姫だけを愛し、妻とします。

 身なりのないおちくぼ姫なのに、他の女性との縁談は出世できるチャンスなのに、
それも断って..。
 平安時代にそんなんある!?カッコ良すぎますよね。
それが1000年も語り継がれる所以なんだとか。すてき。

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